2025年秋、東京ビッグサイトで開催された「東京モーターショー2025(JAPAN MOBILITY SHOW)」。
会場では各メーカーが次世代技術と“未来の生活”を重ねたコンセプトカーや、新型市販モデルを多数展示し、来場者の熱気はかつてない盛り上がりを見せていました。
この記事では、特に注目を集めた車たちを通して、「これからの移動」「これからの暮らし」のリアルなヒントを読み解いていきます。
この記事を読むとわかること
- 東京モーターショー2025で見えた未来の車の方向性
- トヨタ・ホンダ・日産の提案するライフスタイル型モビリティ
- 来場者の声からわかる“車の進化”と現実のギャップ
東京モーターショー2025で見つけた注目の“未来型”車
今年の東京モーターショーは、「未来の暮らしを運ぶ道具」としての車が主役でした。
エンジン音や馬力の数字で勝負していた時代から一転、各社が見せていたのは、“ライフスタイルの中に自然と溶け込む車”たち。
私自身、これまで1,000組以上の家族と車選びをしてきましたが、ここまで「生活の道具」として車が語られる場面は、正直初めてだったかもしれません。
完全自動運転×パーソナル空間の進化
あるメーカーの展示車は、まさに“動く書斎”。
大きなモニター、ふかふかのリクライニングシート、間接照明まで備えたその空間に、私は思わずため息を漏らしました。
「ここで仕事ができたら通勤も悪くないな」と思わせてくるほど。
もはや「移動の苦痛」ではなく、「移動が一番リラックスできる時間」になる——それがこの車たちの提案です。
そして驚くべきは、それが“夢物語”ではなくなってきている現実なのです。
EV+AIで“家族の一員”になる車たち
EV化とともに進化しているのが、AIの“気づき”力。
「今日は元気ないね、ヒーリング系の音楽かけておくよ」と語りかけるインターフェース。
ドライバーの健康状態をモニターしながら、光・音・温度を調整してくれるコンセプト。
それはもはや“道具”ではありません。
車が「話しかけてくれる」「見守ってくれる」という発想は、家族の一員に限りなく近い存在だと感じました。
“運転する楽しさ”を再定義するスポーツEV
「EVって走っても面白くないでしょ?」と感じている方、今回のスポーツEVを体感すれば考えが変わるはずです。
特に印象的だったのは、“頭で走る”という感覚。
アクセル操作の細やかさに応えてくれる制御技術は、まるで自分の思考がそのまま車の動きに変換されるよう。
あの一体感は、従来のスポーツカーとはまた違う魅力がありました。
「運転の喜び」すらアップデートされている。そう確信しました。
各メーカーの戦略とメッセージ
今回のショーでは、スペックよりも「その車で、どう暮らすか?」というテーマが全面に出ていました。
トヨタ・ホンダ・日産――それぞれが“らしさ”をにじませながら、新しい生活提案として車を語っていたのです。
トヨタ|多様なパワートレインで“選べる未来”を
トヨタの展示はまさに“現実と理想のバランス感覚”。
EV一本に絞らず、PHEV、水素と多方向に投資している姿勢には、地方ユーザーのことをしっかり見ているなと感じました。
「都会ではEV、郊外ではハイブリッドや水素」——これは理屈ではなく生活の肌感覚に寄り添った戦略だと思います。
ホンダ|人と共に成長するモビリティのかたち
ホンダが語っていたのは、“育てる車”という新しい価値観でした。
AIが使う人の好みや習慣を学習し、1年後には「この道、最近通ってないですね」と気づいてくれる。
人と車の関係が、まるで“友人との会話”のように変わっていくイメージ。
この思想には、技術者としてだけでなく、哲学者としてのホンダの顔を感じました。
日産|電動化×エンタメが融合した移動空間
日産の展示は、どこよりもワクワクさせてくれるものでした。
没入型シアター、香りの演出、振動と連動した音響空間。
「ドライブ中にライブが開ける」「家族で映画鑑賞できる車内」など、移動=エンタメの場に変える発想は斬新。
車を“空間メディア”として再定義しようとする日産の挑戦には、未来の車の可能性を強く感じました。
会場で感じた“車の未来”とユーザーのリアルな声
メーカーの意気込みとは裏腹に、来場者の声は実に現実的でした。
「これは夢か現か?」——未来の車を前にして戸惑う声も多く聞かれたのが印象的でした。
技術は進化していても、それを「自分ごと」として想像できるかは別問題。
でも、だからこそ今の声に耳を傾けることが大切なのだと思います。
「欲しい!」だけじゃない。未来車への“距離感”
「かっこいいけど、これ本当に乗る日が来るのか?」
そんな声があちこちで飛び交っていました。
技術と生活実感の間に横たわる“温度差”は、どの車にも共通する課題なのかもしれません。
ただ、5年前のEV展示と比べると、「現実味」のある展示が増えたのも確か。
夢と実用の接点が、じわじわと近づいている。それを肌で感じました。
家族連れのリアルな視点と“実用性”のバランス
「チャイルドシートどこに付ける?」「これ、ベビーカー積める?」
未来カーの展示のそばで、小さな子どもを連れた家族のそんな声が印象的でした。
「未来」だけでは決まらないのが、家族の車選び。
リアリティに裏打ちされた視点こそ、メーカーが一番大事にしなければならないヒントだと思います。
シニア・若者それぞれの“期待と不安”
若い世代は「スマホ感覚で乗れる車がほしい」、シニア層は「全部自動だと、逆に怖い」と口を揃えます。
この価値観の揺らぎこそが、今の“車の変革期”のリアルなのだと感じました。
どの世代にも寄り添える車こそが、真の「次世代車」なのかもしれません。
まとめ
今回の東京モーターショーで見えたのは、「移動するための車」から、「生き方を選ぶ車」への変化でした。
自動運転、EV、AI——それらの技術の先にあったのは、“人の暮らし”そのものへの問いかけです。
「あなたにとって車は何か?」
それが、これからの車選びの出発点になっていく。
そんな予感を胸に、会場を後にしました。
ライター紹介:杉山 剛志(すぎやま・たけし)
※この人物は架空のライターです。本文内の感想や体験談もフィクションとしてお楽しみください。
1976年・神奈川県生まれの設定。
ディーラー営業として約10年、のべ1,000組以上の車選びをサポートした後、中古車査定士に転身。現在はカーライフアドバイザーとして、暮らしに寄り添う車選びの提案や、車用品のレビューを架空体験ベースで執筆中。
家族持ち・郊外生活という設定を生かし、「実用重視の車選び」「家族とのカーライフ」「元営業マンならではの選びの視点」に強みあり。
記事はすべてフィクションですが、“ありそうでリアル”な車との付き合い方を、読者の目線で語ります。