東京モーターショー2025でバイクファンが胸を高鳴らせるのは、新時代の幕開けを感じさせる数々の新型モデル。
電動化、デジタル化、さらにはライダーとの対話を深める“体験価値”の強化——。
今回は、元ディーラー営業マンであり現役中古車査定士としての目線を通じて、特に「その乗り味を味わいたくなる」注目バイクBEST5を厳選しました。
初めてバイクを購入する人はもちろん、買い替えを検討しているパパさんや、通勤・通学用に手軽な1台を探している方にも、「これはちょっと気になる!」と思ってもらえるバイクたちが揃っています。
読み進めるうちに、あなたの理想の一台が見えてくるかもしれません。
この記事を読むとわかること
- 東京モーターショー2025で注目された最新バイクの実車レビュー
- 電動・通勤・ツーリングなど用途別おすすめモデルの選び方
- 元営業マンの視点で語る、バイク選びのリアルな判断基準
新たなスタンダードを築く「電動バイク」の最新モデル
東京モーターショー2025で、会場全体が静かに、しかし確実に熱を帯びていたのが「電動バイク」でした。
あの独特の加速感と、音のない走り。
スロットルをひねった瞬間、風と一体になるあの感覚には、内燃機関とはまた違うロマンがあります。
とくにホンダのe-スーパーチャージャー搭載V-3コンセプトには多くの視線が集まりました。
単なる環境対応車ではなく、「乗って楽しい」「使って納得」の次世代バイク。
その存在は、いよいよ“EV=現実の選択肢”になったことを印象づけます。
進化した電動バイクのスペックと航続距離
以前は「航続距離が短い」「加速が物足りない」といったネガティブなイメージを持たれがちだった電動バイク。
しかし、今回出展された新型モデルはそうした先入観を完全に覆しました。
とくにV-3コンセプトは、満充電で約200kmの航続距離。
さらに急速充電対応で30分あれば80%まで回復可能。
これは通勤はもちろん、片道100kmクラスのショートツーリングも十分こなせる性能です。
さらに驚いたのが、加速時のトルク感。
スロットルを軽く開けただけで、静かに、しかし力強く前に出る。
ガソリンバイクのようなエンジン音はないけれど、代わりに“手応え”がしっかり伝わってくる。
これは乗った人にしかわからない、新しい快感です。
都市部ライダー向けインフラの整備状況
EVバイクが「日常の移動手段」として現実的になるには、充電インフラの整備が欠かせません。
今回の東京モーターショーでは、そうした背景を見据えた各社の提案が目立ちました。
たとえば、車体にスマートフォン連携機能を搭載し、近隣の急速充電ステーションをリアルタイムで検索・ナビゲートできるモデルが複数登場。
特に都市部では、コンビニやショッピングモールの駐輪場に急速充電器が設置されはじめ、日常の利便性が一気に高まりつつあります。
週末だけ乗るライトユーザーにとっても、朝出発前にフル充電して、昼食や買い物の間に30分だけ追い充電——そんな使い方が無理なくできる環境が整ってきた印象です。
一方、地方や郊外ではまだ“充電をどこでどうするか”が課題であり、EVバイクの普及には地域格差への対応が今後の焦点となるでしょう。
EVバイク購入のメリットと注意点
燃料代がかからず、オイル交換も不要。
維持費の安さという点では、EVバイクはすでにガソリン車を凌駕しています。
さらに、地方自治体によっては購入時に補助金が出るケースもあり、「思っていたより買いやすい」と感じる人も多いはずです。
とはいえ、気をつけたいのはバッテリー関連のコスト。
高性能化に伴って、交換費用も高額になりつつあります。
3〜5年後の交換タイミングを見据えて、メーカーの保証内容や交換サービスの有無は必ず確認しておきたいポイントです。
もうひとつ盲点になりがちなのが、中古市場の成熟度。
現時点では流通量が少なく、価格も不安定なため、将来的な買い替えや下取りの際に「思ったより値がつかない」ことも。
実際、僕のような査定士から見ると、EVバイクの査定はまだ“ケースバイケース”が多く、相場が見えにくいのが実情です。
だからこそ、「いま安く乗れる」だけで判断するのではなく、「5年後も納得して使い続けられるか」という視点が重要です。
保育園の送迎や買い物など、日常のあらゆる場面にEVバイクを取り入れるライフスタイル。
その選択が、少し先の未来を豊かにしてくれるかもしれません。
次世代デザインが光る「コンセプトバイク」
車もバイクも、理屈だけじゃ動かされない。
東京モーターショー2025でそれを思い出させてくれたのが、各社が本気で送り出してきた“コンセプトモデル”の数々でした。
見た目に惚れる。名前を覚えてしまう。
会場を出てからも、ふと頭をよぎる——そんな一台に出会えるのが、モーターショーの醍醐味だと思うんです。
今回は、元ディーラーとしても一人のライダーとしても「これは乗ってみたい」と本気で思ったモデルを中心に、次世代バイクの可能性を紹介します。
見た目も走りも未来志向の1台たち
東京モーターショー2025の会場で、人の流れがふと止まり、皆がカメラを向けていた先にあったのが、ホンダのCB1000F Conceptでした。
パッと見た瞬間に感じるのは、懐かしさと新しさが同居する不思議な存在感。
CBシリーズらしい筋肉質なフレームラインに、シャープなLEDヘッドライトや現代的なパーツを融合させたデザインは、まさに“ネオ・クラシックネイキッド”という言葉がぴったりでした。
スタッフとの会話の中で、「これは市販化にかなり近い形です」と聞かされたときの高揚感は、今も心に残っています。
スペックよりも先に、ただ“乗ってみたい”と思わせてくれるその佇まい。
バイクは、やっぱりまず見た目に惚れるものだとあらためて感じました。
ライダーとマシンの新たな関係性
その対極とも言えるインパクトを放っていたのが、BMWのR 20 Concept。
クラシカルなボクサーエンジンを大胆に露出させたフォルムは、バイクというより、まるで“走る彫刻”。
眺めるほどに細部まで造形美が行き届き、思わず無言になってしまう圧倒的な存在感でした。
でも、ただのショーモデルでは終わらないのがBMWのすごさ。
またがった瞬間、金属の冷たさと重厚感がじわっと身体に伝わってきて、「これはマシンと対話する乗り物だ」と直感しました。
ただ速いだけじゃなく、所有する悦び、触れる楽しさ、語れる余白がある。
ライダーとマシンの関係が、またひとつ新しい段階に入った——そう感じさせてくれる1台でした。
市販化に期待したいモデルはこれ
正直、今回のショーで最も現実味があり、最も欲しいと思ったのはCB1000F Conceptです。
スタッフの話では、東京・大阪・名古屋を巡るプロモーションを経て、近い将来に正式発表を目指しているとのこと。
単なる夢物語ではなく、“手が届く未来”としての市販化が見えてきたのは、とても嬉しいニュースでした。
ネオクラシックという文脈の中で、ホンダがここまで本気の1台を仕上げてきたこと。
それ自体が、時代の価値観の変化を映しているようにも思えます。
スペックではなく、語れるかどうか。数値ではなく、物語があるかどうか。
そんな選び方をしたい人にとって、CB1000Fは間違いなく「今後注目すべき一台」になると確信しています。
通勤通学に最適「軽量&低燃費モデル」
日々の足としてバイクを選ぶなら、「跨がってすぐに走れる」という手軽さは何より重要です。
東京モーターショー2025では、通勤・通学を前提としたコンパクトで軽量なモデルがずらりと並び、まるで「毎日乗りたくなる」魅力を放っていました。
今回は、街乗りでの使いやすさを第一に考え、「軽量」「燃費」「維持費」の三拍子で勝負するモデル群をピックアップ。
初めての人にも、忙しいパパにも、通勤通学ライダーにも納得の選び方をお伝えします。
毎日乗れる、燃費と扱いやすさのバランス
日々の通勤や買い物にバイクを使うなら、軽さと燃費のバランスは外せません。
その意味でヤマハのYJ‑01は、まさに“日常向きの理想形”とも言える存在でした。
125kgという取り回しの良さに加え、実走行で37km/L超という高い燃費性能。
カタログスペックを見ただけでは伝わらない、実際にまたがって走ったときの「軽快さ」が際立っています。
信号スタート時のスムーズな加速、渋滞での取り回しのしやすさ、そしてガソリンの減りが遅いという安心感。
こうした積み重ねが、毎日の移動を“苦じゃなくする”。
電車やバスに乗るより早く、疲れにくく、目的地に着いたときに「よし、今日もバイクで来てよかった」と思える。
それが、YJ‑01の持つリアルな価値だと感じました。
初心者にも安心の取り回し性能
取り回しのしやすさは、ライダーの経験値に関係なく重要なポイントです。
ホンダのCT125ハンターカブは、その点で非常に優れた一台。
まずシート高が抑えられているため、小柄な方や女性ライダーでも足つきがよく、跨がった瞬間に「これなら大丈夫」と思える安心感があります。
実際に押し引きしてみると、車体のバランスがとても良く、スリムなフレーム設計のおかげで、狭い路地や駐輪場でもストレスなく動かせました。
普段乗りにちょうどいい軽快さと、どこか“道具っぽい”実直さ。
カブシリーズの伝統を受け継ぎながらも、現代の使い方に合った気配りが随所に感じられる、まさに“暮らしの中で使える相棒”です。
維持費と保険コストのリアル
長くバイクに乗るなら、維持費は軽視できない要素です。
軽二輪クラスは車検が不要なため、初期コストが低く抑えられるだけでなく、毎年の固定費も非常にシンプルです。
ヤマハYJ‑01やCT125のような燃費効率の高いモデルであれば、年間のガソリン代はおおよそ3万~4万円程度に収まり、経済的な負担も少なく済みます。
さらに、通勤通学に特化した保険プランを選べば、月2000円前後で必要な補償をしっかりカバー可能。
自賠責に加え、対人・対物まで含めた安心の備えができるのは心強いポイントです。
「買ったあと、いくらかかるのか?」が明確で予測しやすいという点でも、実用車としての完成度は非常に高いと感じました。
荷物・家族も安心「ツーリング&荷物対応モデル」
「子どもを乗せて風を感じたい」「キャンプ道具を積んで一泊旅に出たい」
——そんな思いに応えてくれるのが、“積めて走れる”ツーリングバイクたちです。
今回のモーターショーでは、実用派ライダーにも響く工夫が随所に感じられるモデルが数多く登場していました。
育児と通勤を両立してきた僕としても、「これは家族と一緒に楽しめるな」と思えたバイクを中心に、リアルな使い勝手と乗り心地をお伝えします。
収納力で選ぶ最新バイク
ツーリングや週末の買い出しにバイクを使うなら、「どれだけ積めるか」は欠かせない要素。
そう思って各ブースを見ていた中で、カワサキのVersys‑X 300 Tourerには思わず足が止まりました。
最初に目を引いたのは、存在感のある大きなパニアケース。
両側に標準装備されたこの収納は、見た目にも頼もしく、まるで“バイク界のトランクルーム”といった印象を受けました。
実際に開閉してみると、動きはスムーズでカチッと閉まる安心感があり、「これは日常でも十分使えるな」と感じました。
容量的にもキャンプ道具はもちろん、子どものおむつや買い物袋など、生活感ある荷物がそのまま収まるサイズ。
雨の日も安心の防水設計で、鍵もかけられる。
バイクで暮らしを支える——そんな使い方が見えてくる一台です。
タンデムライドの快適性を検証
家族でバイクに乗るとなれば、後席の快適性は絶対に無視できません。
僕も子どもを後ろに乗せて走ることがありますが、「座り心地が悪い」とか「不安定」と言われると、親としてはそれだけでテンションが下がってしまうんです。
そんな経験を持つ身として、ヤマハのTricity 300GTは本当に感動しました。
またがった瞬間に感じたのは、「とにかく安心できる安定感」。
前2輪・後1輪という独特の構造が、ちょっとした段差でもぶれない走行安定性を生み出しています。
後席シートも広めで、子どもが座ってもゆったり。
しかも、信号待ちでバイクが自立する“スタンディングアシスト”は、片手で子どもを支えたいときにもありがたい装備です。
子どもに「また乗りたい」と言われるバイク——それは、親ライダーにとって最高の褒め言葉。
その意味でTricity 300GTは、まさに家族ライドに最適な一台だと感じました。
キャンプ・長距離ツーリング派の選択肢
旅の相棒としてのバイクに求めるのは、積載力だけじゃなく、疲れにくさや信頼性。
そのどれにも応えてくれるのが、ホンダのNC750X DCTです。
このバイク、パッと見ただけでは気づかないんですが、燃料タンクの位置に大きな収納スペースがあるんです。
ここにヘルメットや雨具、小物類をさっと入れられる。
その使い勝手の良さは、一度味わうと手放せません。
さらに感動したのが、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の存在。
クラッチ操作を省いた滑らかな加速は、長時間走行でも疲れにくく、「まだまだ走りたい」と思える気持ちの余裕を与えてくれます。
平日はちょっとした移動に、週末はテントとコーヒーセットを積んで遠出に——そんな“暮らしと遊びの間”を軽やかに行き来できる、懐の深い一台でした。
試乗で感じた「ライドフィーリング重視モデル」
バイクは“道具”である前に、“乗る悦び”を与えてくれる乗り物だと、あらためて思い知らされたのがこのカテゴリーです。
音、振動、姿勢、そして操作感…東京モーターショー2025では、思わず「これ、欲しい」と心が動く車両と多数巡り合いました。
直感的な操作感と加速フィール
ヤマハのMT‑10 SPにまたがった瞬間、「これだ」と感じました。
スロットルを開けていくたびに、エンジンが唸りを上げ、体に伝わるトルクの響きが、まるで自分の意思に言葉を与えてくれるよう。
スタート直後の唐突でなく、自然に湧き上がる加速フィールは、街中からワインディングまで、どこへでも走りに行きたくなる衝動を呼び起こします。
足回りとサスペンションの進化
スズキのGSX‑S1000は、倒しこみやコーナリング中の車体の安定感が印象的でした。
最新の慣性計測ユニット(IMU)をフル活用し、電子制御サスが路面にぴったり追従。
結果、走りに集中でき、「速いのに怖くない」という気持ちにさせてくれる安心感がありました。
思わず「走りたくなる」一台の条件
試乗で心が動くバイクには、共通点があると思っています。
それは、「ライダーの感覚を裏切らないフィードバック」と「乗るだけで心が満たされる情感」。
たとえばMT‑10 は、アクセルをひねるたびに“高揚感”をくれる。
GSX‑S1000 にまたがると、“安心して攻められる”感触がある。
こうしたバイクは、夜道の街灯や早朝の海辺で、まるで相棒のように寄り添ってくれる存在。
その存在感があるから、次の週末が待ち遠しくなる——それが「走りたくなる」条件ではないでしょうか。
まとめ
東京モーターショー2025を歩きながら感じたのは、バイクの進化が単なる“性能アップ”ではないということでした。
電動化、デザイン、積載力、走り心地——すべてのモデルに共通していたのは、「どう生きたいか」に寄り添おうとする姿勢です。
一人で風を感じる時間が欲しい。
家族との週末をもっと快適にしたい。
あるいは、通勤のストレスを少しでも減らしたい。
そんな「選ぶ理由」が、そのままその人の“暮らしの形”になっていくのだと思います。
僕は営業時代から、こんな風にお客様に尋ねていました。
「そのバイク、3年後にも“選んでよかった”って言えそうですか?」と。
スペックや価格も大事ですが、最後は“自分の生活にしっくりくるか”どうか。
それを見つける手助けができていたら、この記事を書いた意味があると思っています。
ぜひあなたにも、心のどこかが反応する“2025年型”に出会ってほしい。
そして、次の休日にそのバイクとどこへ出かけようか──そんな想像を、今日から始めてみてください。
ライター紹介:杉山 剛志(すぎやま・たけし)
※この人物は架空のライターです。本文内の感想や体験談もフィクションとしてお楽しみください。
1976年・神奈川県生まれの設定。
ディーラー営業として約10年、のべ1,000組以上の車選びをサポートした後、中古車査定士に転身。現在はカーライフアドバイザーとして、暮らしに寄り添う車選びの提案や、車用品のレビューを架空体験ベースで執筆中。
家族持ち・郊外生活という設定を生かし、「実用重視の車選び」「家族とのカーライフ」「元営業マンならではの選びの視点」に強みあり。
記事はすべてフィクションですが、“ありそうでリアル”な車との付き合い方を、読者の目線で語ります。